【王子の新しい遊び その2】
※1の続きです。
私は王子の部屋に腕を引っ張られてなかば強引に連れ込まれた。
「王子、私は何をすれば良いのですか?」
王子はう……んと天井を向いて少し考えていたようだが、
すぐににぱっと顔をほころばせると部屋の隅に置いてある椅子を指差す。
「座れ」
言われた通りに、その座り心地の良さそうな椅子に腰を下ろす。
王子はどこからともなく、一台のノートパソコンを持ち出すと
座る私の膝の上をポンポンと何度か叩いた。
私は王子の意図が分からなくて首をかしげる。
その様子に、王子はいらだったように眉を寄せ、それでも恥かしそうに小さな声で告げた。
「おっ……お前の膝の上に乗せろっ」
「えっ」
何をねだられてるのかと思えば……。
確かに王子の身長は低く、自力で私の膝に座るには背丈が短い。
その恥かしそうな様にいけないと分かっていても、笑いがこみ上げる。
王子の機嫌を損ねないように必死で噛み殺すのに精一杯だ。
「分かりました、王子」
唇の端がヘンな風に歪んでいたかもしれない。
ちょっぴり拗ねた様子の王子を恭しく抱き上げると、椅子に座る私の膝の上に乗せた。
王子は、収まりの良い位置を探して、尻をもぞもぞとさせる。
「うん」
すぐに、満足できる場所が見つかったらしい。
嬉しそうにノートパソコンを開いて電源を入れた。
「……ゲームですか?」
「そうだ」
そんな遊び、自分ひとりですればいいのに……。
私のいる必要のない遊びだ。
しかし、ここで出ていくことは、私には許されない。
『お勤め』と心に呟き、王子を膝に乗せたまま手持ち無沙汰にぼんやりと、
小さな後頭部とモニター画面を眺める。
ゲームは続きからのようだ。
「……っなっ?!」
私は驚きの声を上げた。
モニターには、ちょっと猥褻な……いや、かなり如何わしい絵と文が表示されている。
反射的に立ち上がりかけて、
「わっ……急に動くな!」
「あ、申し訳ありません……」
転がり落ちそうになる王子の叱責に、すごすごと椅子に座りなおすと、もう一度画面を伺い見る。
「王子、……そのそれは」
「パソコンだ。知らないのか?」
「そうじゃなくって……その……王子がしているゲームは」
「何か問題があるのか?」
悪戯をしているのではないようだ。
しどろもどろな私をきょとんとした瞳で覗き込む。
回りくどい言い方ではダメだと、意を決して息を吸う。
大人として、ここは強くご注意申し上げないとっ。
「王子っ、そのゲームは成人なされてからプレイしてください!!」
い……言った。
王子は呆気にとられたような顔をしてすぐに、むっとした表情を浮かべた。
「ゲームにもそのように……」
無言で怒る王子に焦ってフォローしようとするが良い言葉が浮かばない。
火に油を注ぐようだ。
あぁ、私の命も風前の灯なのか……?
「……っだ」
「えっ?」
王子が怒りを抑えて何か言ったがよく聞き取れない。
「オレはとっくに成人しているっ!!!」
「えーーー!ど……どう見ても……!」
もう一度ギロリと睨みつけられて続きの言葉を飲み込む。
これ以上、追求するのは命の危険が。
おろおろする私に、王子は怒って膝の上から飛び降りるとどっかに消えていってしまった。
「……子供にしか見えない」
誰もいない部屋でようやく留まっていた言葉の続きを吐いた。
王族の血には竜の血が混ざっていると聞いたことがある。
それでは、王子は見かけ通りの年齢ではなく……。
「参ったな」
すっかり、私の勘違いで王子の機嫌を損ねてしまった。
「……でも、よく考えてみれば私の目の前で、
如何わしいゲームをするのはやはり問題があるのでは……」
出世とか、そんなに興味がある方じゃないけど……
でも人並みな人生を……そんなささやかな望みさえ今の私には許されないことなのか。
思わず、椅子の上で頭を抱え込んでしまった。
(続く♪)→NEXT |
  
この絵はGAMEピアス2004年の4月くらいにでたのに載ったのです。
従者の手に持ってるウインターカラーの箱。
冬色伝心が出た直後だったので、こっそり自己主張です(笑)
話は今勝手にでっちあげてます〜。
きっ、厳しすぎるーー。
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